日本プロ野球(NPB)各球団の総年俸は、2025年には過去最高水準に到達。
セ・リーグでは読売ジャイアンツ(巨人)、パ・リーグでは福岡ソフトバンクホークスを筆頭に、各球団がいい選手を獲得しよう、あるいは引き留めようと巨額の年俸を支払っています。
球団間の経済格差は年々拡大傾向にあり、それが戦力差にも直結している部分もあるものの、一方で必ずしもそうとは言えない部分も。
年俸が高いから強いのか、あるいは強いから年俸が高くなるのか。。。『卵が先か鶏が先か』と同じで、なかなか結論を出すのは難しい。
本記事では、野球データサイト「DELTAGRAPHS」が発表した2025年開幕前12球団総年俸をもとに、各球団の総年俸ランキングや特徴を詳しく分析していきます!
- 第12位:中日ドラゴンズ 29.4億円(セ6位)
- 第11位:広島東洋カープ 30.6億円(セ4位)
- 第10位:埼玉西武ライオンズ 31.2億円(パ6位)
- 第9位:東北楽天ゴールデンイーグルス 33.2億円(パ4位)
- 第8位:北海道日本ハムファイターズ 36.7億円(パ2位)
- 第7位:オリックス・バファローズ 40.7億円(パ5位)
- 第6位:千葉ロッテマリーンズ 40.8億円(パ3位)
- 第5位:阪神タイガース 42.9億円(セ2位)
- 第4位:東京ヤクルトスワローズ 44.2億円(セ5位)
- 第3位:横浜DeNAベイスターズ 50.6億円(セ3位)
- 第2位:読売ジャイアンツ 62.3億円(セ1位)
- 第1位:福岡ソフトバンクホークス 78.7億円(パ1位)
- 【2025年】NPBチーム総年俸ランキング まとめ
第12位:中日ドラゴンズ 29.4億円(セ6位)
セ・リーグ6位に沈んだ中日ドラゴンズは、29.4億円でNPB最下位の総年俸となりました。
2024年シーズンは37.9億円で第4位と総年俸は高めでしたが、2025年は大幅にダウンして最下位となっています。
前年比で8.5億円もの減少は、主力選手の流出や給与抑制策が影響していると考えるべきでしょう。
2024年シーズンは最下位に終わったチームは完全な再建モードに入り、若手選手の育成を重視する方針に転換。
ベテラン選手への高額年俸を見直した結果がこの数字に表れています。
井上一樹新監督のもと若手の成長に期待がかかりますが、限られた予算で育成も思うようにいかない中で戦いは厳しさを増しています。
広いナゴヤドームを本拠地とする特徴を活かし、守備力と投手力を中心とした堅実な野球で巻き返しを図りたいところ。
第11位:広島東洋カープ 30.6億円(セ4位)
「お金をあまりかけない市民球団」のイメージがある広島東洋カープは、30.6億円で11位。

マツダスタジアムの外野応援席
2024年の29.2億円から微増となりましたが、依然として下位グループに位置しており今後もそれほど上がることは考えにくいでしょう。
広島は伝統的に生え抜き育成を重視する球団で、ドラフトとファームでの選手育成に定評があります。
FAで他球団に流出する選手も多く、資金力では大都市球団に太刀打ちできないのが現実。
しかし、鈴木誠也や菊池涼介、少し前なら金本知憲や黒田博樹など、数々のスター選手を輩出してきた実績は確か。
2024年シーズンはBクラスの4位に沈んだものの、きっと育った若手選手が次の黄金時代を築いてくれることでしょう。
限られた予算の中で、いかに競争力を維持するのか。マツダスタジアムでの熱狂的なファンサポートも、チームの大きな力となっています。
第10位:埼玉西武ライオンズ 31.2億円(パ6位)
埼玉西武ライオンズは31.2億円で10位にランクイン。2024年の32.1億円から微減となりました。
かつては森友哉や山川穂高など高額年俸選手を多く抱えていましたが、そういった選手はほとんど他球団へ移籍。近年は若返りが進んでいます。
2024年シーズンは6位に終わり、1990年代の黄金時代や2017〜2019年ごろの強かった西武の面影はもうありません。
しかし、西武は優れたスカウティングと育成システムで松坂大輔や菊池雄星など多くのスター選手を生み出してきた名門球団。メジャーへ移籍する可能性もありますが、球界トップクラスの実力を持つ絶対的エースの今井達也もいる。
西口新監督のもと、新たな黄金時代の構築を目指しています。
第9位:東北楽天ゴールデンイーグルス 33.2億円(パ4位)
東北楽天ゴールデンイーグルスは、33.2億円で年俸ランキング第9位。
2024年の30.4億円から2.8億円増加し、前年の11位から順位を上げました。
24勝0敗を達成した絶対的エース・田中将大を擁した時代の2013年日本一以降、なかなか優勝争いに絡めていない楽天。
浅村栄斗、岸孝之、則本昂大といったベテランのスター選手を軸に、若手の育成も同時に進めてきています。
2024年シーズンは4位と健闘し、プレーオフ争いにも顔を出しました。
東北唯一のプロ野球球団として地域からの熱い支持を受けており、今後の飛躍を期待する声も高まっています。
第8位:北海道日本ハムファイターズ 36.7億円(パ2位)
2024年シーズンのパ・リーグで第2位にまで躍進した北海道日本ハムファイターズは、36.7億円で8位にランクイン。
2024年の31.8億円から4.9億円増加し、順位も10位から上昇しました。
2023年にエスコンフィールド北海道という最新鋭の球場に移転し、新たな時代を迎えています。
近年はビッグボスこと新庄剛志監督のもと、若手中心のチーム編成を進めています。
主力選手が続々と移籍する中でも若手選手が台頭し、年俸ランキング8位ながらパ・リーグ2位の好成績。
こう言っていいかはわかりませんが、「コストパフォーマンス」でいえば12球団一と言ってもいいかもしれません。
投手なら北山亘基や達孝太など、野手なら万波中正や清宮幸太郎、郡司裕也など、これからが楽しみな選手が目白押し。
かつては大谷翔平やダルビッシュ有などスーパースターを多数輩出してきた球団として、宿敵ホークスを倒し黄金時代を築く日も遠くないかもしれません。
第7位:オリックス・バファローズ 40.7億円(パ5位)
オリックス・バファローズは40.7億円で7位。2024年の35.0億円から5.7億円増加し、順位も8位から上昇しました。
2021〜2023年と3年連続でパ・リーグを制覇して黄金時代を築いていたものの、日本球界最高の投手・山本由伸のメジャー移籍もあり2024年シーズンは5位に沈みました。
とはいえ、宮城大弥や山下舜平大など強力な若手投手陣は健在。
森友哉の獲得など積極的な補強も行っており、いつ優勝してもおかしくない底力を持つ球団。
岸田護新監督のもと、ふたたび頂点を目指す戦いがはじまっています。
第6位:千葉ロッテマリーンズ 40.8億円(パ3位)
千葉ロッテマリーンズは年俸総額40.8億円で第6位にランクイン。
2024年の37.7億円から3.1億円増加し、順位も7位から上昇。シーズンは2位と健闘し、プレーオフでも存在感を示しました。
佐々木朗希というスター投手を擁して投打のバランスが取れたチームであったものの、その佐々木はドジャースに移籍。
2025年は「VISION 2025」の集大成となるはずでしたが、なんとダントツの最下位に沈む結果に。
ZOZOマリンスタジアムでのホームゲームは常に熱気に包まれ、「マリーンズファミリー」と呼ばれる熱狂的なファンの存在が大きな力となっています。
新しい監督のもと巻き返しを図れるのか、注目です。
第5位:阪神タイガース 42.9億円(セ2位)
阪神タイガースは42.9億円で第5位。2024年の37.8億円から5.1億円増加し、順位も6位から上昇しました。
日本屈指の人気球団、かつ2023年にはアレ(優勝)を達成し、38年ぶりの日本一に輝いたわりには思ったより年俸は高くない印象。
その勢いを維持するべく、2025年も積極的な投資を続けています。大山悠輔、佐藤輝明、森下翔太など若手主力が充実し、投手陣も村上頌樹や才木浩人など実力派が揃っています。甲子園球場という日本最高の野球場を本拠地とし、関西全域から熱狂的な支持を受けています。岡田彰布監督のもと、連覇を目指す体制が整っており、今後数年間は黄金時代が続くと予想されます。
第4位:東京ヤクルトスワローズ 44.2億円(セ5位)
第4位にランクインしたのは東京ヤクルトスワローズで、総年俸は44.2億円。
2024年の42.5億円から1.7億円増加しましたが、順位は3位から下降しました。
2021年、2022年と2年連続でセ・リーグを制覇した実績を持ち、村上宗隆というNPB最高年俸選手(6億円)を擁しているのも大きな原因のひとつ。
山田哲人や中村悠平など生え抜きのベテラン主力も健在で、イメージのわりには年俸が高めになっています。
2025年シーズンは村上のケガによる長期離脱があったほか、投手陣・野手陣も不調で最下位に甘んじる結果となってしまいました。
ただ、2025年オフには村上選手がMLBに移籍するのがほぼ確実なこと、またシーズン最下位で年俸アップの見込みが薄いことから、ランキングはかなり下がることが予想されます。
第3位:横浜DeNAベイスターズ 50.6億円(セ3位)
横浜DeNAベイスターズは、50.6億円で3位に順位アップ。
2024年の36.2億円から14.4億円の大幅な年俸アップとなり、7位から一気にトップ3入りを果たしました。
牧、宮﨑、筒香といった生え抜きのスター選手に加え、バウアー、オースティンといった高年俸の外国人選手を抱えていることもありこの順位に。
2024年シーズンにはセ3位から下剋上で日本シリーズ優勝を果たしたことも、多少は影響しているかもしれません。
2025年は2位と順位を上げた一方で、期待されたバウアーが活躍できず退団濃厚。
相川新監督を迎える2025年オフの契約更改はどうなるのか、注目です。
第2位:読売ジャイアンツ 62.3億円(セ1位)
セ・リーグきっての人気がありお金持ちの球団としても知られる読売ジャイアンツ(巨人)は、62.3億円で2位。
2024年の44.5億円から17.8億円という大幅な増加を記録しましたが、長年守ってきた首位の座をソフトバンクに明け渡しました。
それでも依然として高い資金力を誇り、岡本和真(5.4億円)、坂本勇人(5億円)など高額年俸選手を多数抱える古くからの日本球界の盟主であり、常に優勝を期待される立場。
オフには中日からNPB最高年俸となる12億円でライデル・マルティネス選手を獲得し万全を期したものの、2025年は3位に終わりCSも第1ステージで敗退。
岡本がメジャー移籍、坂本もピークを過ぎており、世代交代の時期を迎えている巨人。
その他球団を圧倒する資金力で、派遣奪還に向け2025年オフも間違いなく大補強を進めていくことでしょう。
第1位:福岡ソフトバンクホークス 78.7億円(パ1位)
第1位は、”球界の新しい盟主”とも言える常勝軍団・福岡ソフトバンクホークス。

福岡ドームで飲んだビール
総年俸は78.7億円で、2位の巨人に16.4億円もの大差をつけました。
2024年の63.3億円からさらに15.4億円増加し、NPB史上最高額の総年俸を記録した今回。
生え抜きの柳田悠岐(4.7億円)などのスター選手に加え、他球団から獲得した近藤健介(5.5億円)、、山川穂高(4.5億円)、有原航平(4億円)など、高額年俸選手が名を連ねます。
さらにはオスナ(10億円)、カーター・スチュワート・ジュニア(7.7億円)といった高給取りの外国人も在籍。
2017年から2020年まで4年連続で日本一に輝き現代の黄金時代を築き、その後は日本一から遠ざかっているホークス。
とはいえオスナや山川の不振、スチュワートジュニア登板なし、近藤のケガなどもあってもなお2025年シーズン優勝を果たしたその底力はさすが。
久しぶりの日本一に手が届くのか、注目したいところ。
これからもパ・リーグ随一の資金力と育成システムで、プロ野球を盛り上げてくれることでしょう。
【2025年】NPBチーム総年俸ランキング まとめ
2025年シーズンのNPBチーム総年俸ランキングは、ソフトバンクが78.7億円で圧倒的な首位、巨人が62.3億円で2位、DeNAが50.6億円で3位という結果となりました。
一方、下位球団はソフトバンクの半額以下の30億円台での編成となっており、球団間の経済格差は年々拡大しています。
いずれ、MLBのように「ぜいたく税(資金力のあるチームに課される税)」のようなものが導入されたりするんでしょうか。。。
そうはいっても、野球は資金力だけで勝てるスポーツではありません。
2024年は比較的年俸の高いチームが上位を占めましたが、歴史を振り返ってみると年俸が高くないチームが優勝した例も多数。
2025年以降のシーズンは、これらの巨額投資がどのような結果を生み出すのか?そして資金力に劣る球団がどのように対抗していくのか?
そんな目線でプロ野球を楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
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