自動車の輸出台数が多い国ランキングTOP10(2022)

自動車の輸出台数が多い国ランキングTOP10

世界の自動車市場は、EV(電気自動車)シフトや地政学リスクでめまぐるしく変動しています。

そのなかでも「どの国がどれだけクルマを海外へ送り出しているか」は、産業競争力のバロメーター。


ここでは2022年の統計をもとに、輸出台数トップ10の国々をランキング形式で深掘りします。

各国の主力メーカー、主要輸出先、直近トレンドを交えながら“数字の裏側”にあるストーリーをひも解いていきましょう。

第10位 イギリス 668,029台

イギリス国旗

イギリスの輸出台数は、ポスト・ブレグジットで摩擦が懸念されたものの、ジャガー・ランドローバーやミニの電動モデル輸出が伸長し台数を底支え。

輸出額の約45%は電動車関連で、BEV・PHEVが“稼ぎ頭”になりました。


輸出先はEUが6割を占め、北米向けが続きます。

SMMTは「2030年の販売電動化」に向け、サプライチェーン強化が必要だと警鐘。

持続可能な製造への投資も加速中です。

第9位 インド 741,536台

インド

マルチ・スズキとヒョンデが牽引し、FY2024‐25は乗用車輸出が過去最高を更新したインド

特にアフリカ・中南米向け小型SUVが好調で、前年比15%増となりました。


インド政府は「Make in India」政策の一環として輸出インセンティブを拡充し、完成車専用港の整備を進めています。

EV完成車はまだ1%未満ですが、LFPバッテリーを採用した廉価モデルを2026年までに投入予定です。

第8位 スペイン 1,932,629台

スペイン

欧州第2位の生産拠点であるスペインは、VWグループ傘下SEATの“電動小型車”がドイツ・フランス向けに大量出荷され、商用バンも欧州各地で存在感を示しています。


2023年は製造2.45百万台中、およそ8割が輸出に回る「外向き」構造。

政府はPERTE計画で電池工場を誘致し、バレンシア州に中国系EVメーカーの新工場が進出するなど次世代投資が進行中です。

第7位 韓国 2,300,333台

韓国

ヒョンデと起亜のSUV・EV攻勢が奏功し、輸出額は2年連続で700億ドル超えした韓国

KAMAによれば2025年には2.8百万台へ拡大する見通しです。


主要市場は米国ですが、2025年3月からの米25%追加関税が業界の大きなリスク要因。

政府は緊急支援策を表明し、FTAを活用した東南アジア向けのシフトも検討されています。

第6位 アメリカ 2,644,101台

アメリカ

米国は「輸出額トップブランド」がGMでもテスラでもなく、BMWスパルタンバーグ工場というユニークな構図。

SUV主体で22万台以上を輸出し、南北アメリカから欧州・中東まで広範囲に販路を拡大しました。


USMCA発効後は域内調達比率を満たすため部品ローカル化が進み、結果として国内生産→輸出の流れが強化されています。

第5位 ドイツ 2,786,504台

ドイツ

自動車大国であるドイツは依然として欧州最大の輸出国。

VDA統計では2024年の輸出台数3.17百万台と微増ながら、輸出額は1000億ユーロ規模を維持しています。


メルセデスやBMWは高付加価値EVを中国・米国へ船積みし、ポルシェは北米で高い利益率を確保。

もっとも国内新車市場は補助金打ち切りで伸び悩み、生産の輸出依存度は7割超へ高まっています。

第4位 メキシコ 2,865,641台

メキシコシティ

北米サプライチェーンの要であるメキシコは、輸出台数の約85%が米国向け。

昨年は生産4.06百万台中約3.3百万台を輸出し、前年比15%増を記録しました。


フォードのEVピックアップ「F-150ライトニング」やGMの新世代電動SUVなど、現地生産EVのラインアップも拡大中。

2025年3月からの米国関税は痛手ですが、USMCA原産地規則を満たすことで追加負担を回避できる見込みです。

第3位 中国 3,110,583台

中国

BYDや上汽MGが欧州・ロシア・中南米へ攻勢をかけ、中国は2023年に4.9百万台と過去最高を輸出、ついに日本を抜いて世界首位に立ちました。


輸出の4割超がEV/PHEVで、電動化シフトが順位を押し上げる大きな原動力。

上海港から出るコンテナ船には欧州安全規格を満たした右ハンドル車も積まれ、英国やタイへの納車が急増しています。

第2位 フランス 3,771,043台

フランス

フランスはルノー・グループとステランティス(プジョー208、シトロエンC3など)が北アフリカや欧州周辺国向けに大量出荷し、輸出比率は生産の7割弱。


EVではルノー「メガーヌE-Tech」が欧州市場で競争力を発揮し、フランス国内の“ギガファクトリー群”から供給される新型バッテリーの採用も追い風に。

政府は「フランス2030」計画で輸出向けEV補助を拡充し、2027年までに年間400万台体制を目指しています。

第1位 日本 3,813,269台

日本

自動車大国・日本は、トヨタ・日産・ホンダの3社で輸出台数の6割を占めており、主力は北米・欧州向けハイブリッド。

JAMA統計によれば2023年の総輸出は4.42百万台で前年から16%増、特に北米向けSUVとアジア向け小型車が好調でした。


一方、最大のライバル中国に首位を譲ったことで、EV・電池投資の加速は喫緊の課題。

円安メリットを享受しつつ、2025年以降は“ハイブリッド+次世代電池”で巻き返しを図ります。

自動車の輸出台数が多い国ランキングTOP10の一覧

順位 国名 輸出台数
第1位(金メダル)第1位 日本 3,813,269
第2位(銀メダル)第2位 フランス 3,771,043
第3位(銅メダル)第3位 中国 3,110,583
第4位 メキシコ 2,865,641
第5位 ドイツ 2,786,504
第6位 アメリカ 2,644,101
第7位 韓国 2,300,333
第8位 スペイン 1,932,629
第9位 インド 741,536
第10位 イギリス 668,029

(出典:世界生産・販売・保有・普及率・輸出 | JAMA – 一般社団法人日本自動車工業会

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