オリンピックは、世界各国で4年ごとに開催される最大のスポーツイベント。
その歴史は古代ギリシャに遡りますが、1896年に近代オリンピックとして復活して以来、世界中の都市で開催されてきました。
この記事では、これまで夏季・冬季合わせて最も多くオリンピックを開催した国々をランキング形式で紹介します。
(2034年の五輪開催予定までを集計)
オリンピックは、開催国の文化や経済に大きな影響を与え、その国が世界に向けて自身をアピールする絶好の機会でもあります。
特に、アメリカや日本など複数回の開催実績を持つ国々は、スポーツ大国としての地位を確立してきました。
冬季と夏季を合わせて、いくつもの大会を成功させた国々が存在します。
どの国が最も多くのオリンピックを開催し、その背景にどのような事情があったのか?国際的なスポーツイベントの裏側に迫ります。
第9位 ロシア 2回(夏1・冬1)
2回のオリンピックを開催したロシア。
1980年にモスクワで夏季オリンピック、2014年にソチで冬季オリンピックが行われました。両大会ともに、国際的な注目を集めた大会です。
1980年モスクワ大会は冷戦下での開催となり、当時の情勢から日本を含む西側諸国の50カ国近くがボイコットした史上唯一といっていい大会となりました。
ソ連時代の記念碑的な大会と言い換えることもできるでしょう。
2014年のソチ冬季大会は、史上最も費用がかかったオリンピックとしても有名。豪華な施設と華やかな開会式が話題に。
ロシアの、オリンピックで国力を誇示したい思惑を示す大会として記憶に残るものとなりました。
第9位 韓国 2回(夏1・冬1)
韓国は、2度オリンピックを開催しています。
1988年にソウルで夏季オリンピック、2018年には平昌(ピョンチャン)で冬季オリンピックが行われました。
1988年ソウル大会は、冷戦終結期の中で東西の融和を象徴する大会となり、アジアでのスポーツの発展を後押し。
また、この大会を通じて、韓国の経済成長と技術力が世界に広く知られるようになりました。
2018年平昌冬季オリンピックでは、特に開会式やIT技術の活用が話題となりました。
第9位 中国 2回(夏1・冬1)
中国は、2008年・2022年と北京で2回オリンピックを開催しています。
特に、2008年の北京オリンピックは、中国の国際的な台頭を象徴する大会でした。
2008年の北京大会は過去最大の規模で行われ、特に開会式の壮大さは中国の経済発展を示すに十分な内容。
2022年の北京冬季オリンピックは、北京が初めて夏季と冬季の両方の大会を開催する都市として話題を集め、環境配慮や最新技術の活用も大きく取り上げられました。
第9位 スイス 2回(冬2)
スイスは、2回冬季オリンピックを開催した国で、1928年と1948年にサンモリッツで行われました。
この小さな山岳国は、冬季スポーツの発展に貢献してきた歴史的な背景があります。
1928年のサンモリッツ大会は、ヨーロッパでの冬季オリンピックの幕開けを象徴するもの。
スイスの美しい自然環境が世界に知られ、冬季スポーツが一気に広まるきっかけにもなりました。
1948年の大会は、第二次世界大戦後の最初のオリンピックであり、平和と再建の象徴として開催されました。
第9位 オーストリア 2回(冬2)
オーストリアは、冬季オリンピックを2度開催しており、どちらもインスブルックで行われました。
1964年と1976年の大会は、アルプスの雪に覆われた美しい風景を背景に、冬季スポーツの真髄が発揮された大会として知られています。
特に1976年のインスブルック大会は、アメリカ・デンバーでの開催権返上を受けて急遽決定されたにも関わらず、オーストリアの卓越した組織力によって成功を収めました。
オーストリアの豊かな自然と伝統はこれらの大会を通じてさらに強化され、現在に至るまで冬季スポーツの強豪国として名を連ねています。
第9位 ノルウェー 2回(冬2)
ノルウェーは、冬季オリンピックを2回開催した国で、1952年と1994年にオスロとリレハンメルで行われました。
冬季スポーツにおいて圧倒的な存在感を持つ国・ノルウェーの自然環境と伝統が、大会を支えました。
1952年のオスロ大会は、ノルウェーのウィンタースポーツ文化の象徴的なイベントで、地元の選手たちが多数のメダルを獲得。
特にスキージャンプやクロスカントリーでは無類の強さを発揮しました。
1994年のリレハンメル大会は、自然と調和した美しい大会運営が評価され、環境に優しいオリンピックとしても話題となりました。
第5位 カナダ 3回(夏1・冬2)
カナダは、3回のオリンピックを開催しています。
1976年にモントリオールで夏季大会、1988年にはカルガリーで冬季大会、そして2010年にはバンクーバーで冬季大会が行われました。特に冬季オリンピックでの開催が印象的です。
1976年モントリオール大会は、カナダ初の夏季オリンピックとして期待が大きかったものの、最終的な財政赤字が問題に。
しかし、後の冬季大会ではその経験を生かし、成功を収めました。
2010年バンクーバー冬季大会は、選手村の快適さや環境配慮型の施設が高く評価される大会となりました。
第5位 ドイツ 3回(夏2・冬1)
ドイツは、オリンピックを3度開催しています。
1936年にはベルリンで夏季オリンピック、同年ガルミッシュ=パルテンキルヒェンで冬季オリンピックが開催されました。
さらに1972年にはミュンヘンで夏季大会が開かれました。
1936年ベルリン大会は、ナチス政権下で開催され、プロパガンダに利用された側面が強いですが、ジェシー・オーエンスの活躍など、スポーツ史に残る感動的な場面も多くありました。
一方、1972年ミュンヘン大会は、悲劇的なテロ事件が起きたことでも知られています。
ドイツのオリンピックはスポーツと社会の影響を深く考えさせるものとなっており、その後の大会運営にも大きな教訓を与えました。
第5位 オーストラリア 3回(夏3)
オーストラリアは、これまでに1956年のメルボルン大会と2000年のシドニー大会の2度の夏季オリンピックを開催しました。
1956年のメルボルン大会は南半球で初めて開催されたオリンピックであり、世界中の注目がオーストラリアに集まりました。
南半球の季節の逆転によって、初めて11月から12月に開催された大会でもあります。
2000年のシドニー大会は、組織力と運営の成功により、現代オリンピック史において模範的な大会として多くの賞賛を受けました。
2032年にはブリスベンで3度目の夏季オリンピックが開催予定となっています。
第5位 イギリス 3回(夏3)
イギリスは、3度の夏季オリンピックを開催した国。
1908年、1948年、そして2012年のロンドン大会は、それぞれ異なる時代において印象的な大会として歴史に残っています。
1948年のロンドン大会は、第二次大戦後の復興の象徴として注目され、限られた資源で成功裏に開催されました。
一方、2012年大会は、持続可能性や市民参加を重視した大会として、多くの革新的な試みが行われました。
ロンドンは、近代オリンピック史上初めて3回の夏季大会を開催した都市として、その名を刻んでいます。
第3位 イタリア 4回(夏1・冬3)
イタリアは、これまでに3度のオリンピックを開催し、さらに2026年にも開催予定となっています。
1956年にコルティナダンペッツォで冬季大会が初めて開かれ、1960年にはローマで夏季オリンピックが、2006年にはトリノで冬季大会が行われました。
特に1960年ローマ大会は、古代ローマの歴史と文化が色濃く反映された大会として知られています。
美しい都市ローマが世界の注目を集め、多くの観光客を惹きつけました。
2026年には、ミラノとコルティナダンペッツォで冬季オリンピックが再び開催される予定。イタリアは4度目のオリンピック開催国となります。
第3位 日本 4回(夏2・冬2)
日本は、オリンピックを4回開催した国。これは世界で3番目の数です。
1964年の東京夏季オリンピックが日本初の大会であり、その後1972年には札幌で冬季大会が行われました。
さらに1998年の長野で冬季オリンピックが開催され、2021年には再び東京で夏季大会が開催されました。
特に1964年の東京大会は、日本の復興と成長を世界に示す象徴的な大会。
新幹線やインフラが整備されるきっかけともなり、日本の技術力と経済力が大きく発展したことを世界に知らしめました。
2021年の東京大会は、新型コロナウイルスの影響で2020年から延期され、無観客での開催に。
困難がありながらも、それを乗り越えた大会として歴史に刻まれました。
第2位 フランス 7回(夏3・冬4)
フランスは、近代オリンピックを提唱したピエール・ド・クーベルタン男爵の出身地である重要な国です。
パリで1900年と1924年、そして2024年には3度目の夏季オリンピックを開催。
冬季オリンピックも1924年にシャモニーで開催し、これが最初の冬季大会となりました。
フランスは、文化的・歴史的な背景を生かし、華やかで印象的・芸術的な大会を開いてきました。
2024年パリオリンピックでの前衛的な開会式が記憶に残っている人も多いことでしょう。
第1位 アメリカ 10回(夏5・冬5)
アメリカは、オリンピック開催回数で断然の世界トップ。
夏季オリンピックを5回(1904年セントルイス、1932年ロサンゼルス、1984年ロサンゼルス、1996年アトランタ、2028年ロサンゼルス予定)、冬季オリンピックを5回(1932年レークプラシッド、1960年スコーバレー、1980年レークプラシッド、2002年ソルトレークシティ、2034年ソルトレークシティ・ユタ予定)開催あるいは開催予定。
特に、ロサンゼルスは2028年に3度目の開催を迎える予定で、スポーツ都市としての地位を不動のものにしています。
(他に3回開催した都市はロンドン、パリのみ)
アメリカは夏季五輪での通算メダル獲得数も群を抜いており、通算で金メダル1,000個以上とダントツの数値を残しています。
世界一の五輪開催回数を誇るアメリカ。これはアメリカの国力、ひいてはスポーツ大国としての力を反映したものと言えるでしょう。
国別のオリンピック開催回数ランキングの一覧
順位 | 国名 | 回数 |
---|---|---|
第1位 | アメリカ | 10回(夏5・冬5) |
第2位 | フランス | 7回(夏3・冬4) |
第3位 | 日本 | 4回(夏2・冬2) |
第3位 | イタリア | 4回(夏1・冬3) |
第5位 | イギリス | 3回(夏3) |
第5位 | オーストラリア | 3回(夏3) |
第5位 | ドイツ | 3回(夏2・冬1) |
第5位 | カナダ | 3回(夏1・冬2) |
第9位 | ギリシャ | 2回(夏2) |
第9位 | ロシア | 2回(夏1・冬1) |
第9位 | 韓国 | 2回(夏1・冬1) |
第9位 | 中国 | 2回(夏1・冬1) |
第9位 | スイス | 2回(冬2) |
第9位 | オーストリア | 2回(冬2) |
第9位 | ノルウェー | 2回(冬2) |
※2034年ソルトレークシティーオリンピックまで集計